古民家再生の実績を生かし
新潟の料亭を移築再生
半世紀前に左官業から始まった勇建工業。20年以上前に加村義信社長が古民家再生に取り組んで以来、数多くの古民家再生を行ってきた。明治初期の建物を移築再生した自宅兼展示場を訪ねた。
大谷石の腰壁、ベンガラ色の大津磨きになまこ壁……美しい外壁を見ながら室内に一歩足を踏み入れると、吹き抜けの天井に黒光りする梁のかかる、迫力満点の空間に迎えられる。
1階が勇建工業の展示場、2階が加村社長一家の住まいとなっているこの建物は、築170年の古民家を移築再生したものだ。この建物との出会いについて、加村社長は「もとは山形にあった古民家で、新潟の柏崎に移築し、料亭として使われていました。その材がバラした状態で直江津漁港の近くに置いてあったのです。それを買ってくれないかと言われて見に行って、差鴨居も太くて立派だったので、自宅兼展示場としての移築再生を決意しました」と話す。
加村義信社長が古民家再生に興味をもったのは、今から20年以上前のこと。「もともと左官の技には自信がありましたし、その頃の社内大工はベテラン揃い。古民家再生なら、我が社の特長を生かして全員で取り組めるのではと考えたのです」
所在地:愛知県名古屋市
家族構成:夫婦+子ども3人
敷地面積:396㎡
延床面積:258㎡
竣工:2009年8月(工期工期2007年8月~2009年8月)
設計・施工:㈲勇建工業
構造形式:在来木造工法
主な外部仕上げ
屋根=玄昌石
外壁=土佐漆喰刷毛引き仕上げ、焼杉
軒天井=土佐漆喰、天竜杉
主な内部仕上げ
天井=天竜杉
壁=漆喰土壁
床=欅、達磨瓦