奈良県/田中邸

 

古き土地に身を委ね、築250年の民家に暮らす

 

飛鳥時代の史跡が残り、古の香りが色濃く漂う明日香村のとある集落。陶芸家の田中茂雄さんが、この地に住まいと工房を構えて6年。毎日、薪をくべて火を焚き、井戸水の恩恵に感謝を捧げ、土を捏ねる。大地の鼓動に身を委ねるように創作と暮らしを営む田中さんを訪ねました。

芽吹き始めた新緑が美しい、春の飛鳥川。上流の奥明日香へと進むにつれ、懐かしい棚田の景色が広がる。先人たちの暮らしが守ってきた山里、栢森。その古道の家並みに溶け込むようにして建つ古民家が、田中邸だ。

学生時代から骨董好きだった田中茂雄さんは、李朝の焼き物に魅せられ、陶芸の世界に入った。出身地である京都府南部の自宅を工房として、研究を重ねてひたすら古陶から学ぶ日々。子どもが生まれ、次第に、自然に根ざしたゆるぎない古の暮らしへの想いがつのる。思い浮かんだのは、かつて通りがかって心打たれた奥明日香の美しい風景だった。

 

 

 

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