雑誌「チルチンびと」96号掲載「生まれ変わる古材」
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仕上げで異なる古材の表情漆(うるし)漆の木から採取した樹液を精製してつくられる塗料。乾燥した塗膜は硬く漆器や調度品をはじめ住宅の内装にも塗られた。難易度は高いがDIYも可能。かぶれやすいので注意が必要で、かぶれにくい漆も市販されている。塗料顔料油柿渋(かきしぶ)渋柿品種の未熟果を搾汁し、発酵熟成させた水性塗料。十分に乾燥すると防水、防虫防腐効果が高まる。塗り重ねや経年によって色が濃くなる。古色仕上げにはベンガラや硝煙などの顔料と混ぜて使う。硝煙(しょうえん)松を不完全燃焼させ発生した煤を原料とする炭素系黒色顔料。ベンガラや柿渋に混ぜると防虫、防腐効果を高める。原料の松の油分が残っており、油には溶けやすいが、水とは分離しやすい。亜麻仁油(あまにゆ)亜麻の種子から搾油される、やや黄色っぽく半透明の乾性油。乾くと塗面で強い膜を形成する。ワニスや自然系塗料によく使われる。1年ほど経過すると明るい茶色に変化する。荏油(えゆ・じんゆ)シソ科の荏胡麻の種子を搾油し、古来より建築用として使われた乾性油。塗面に膜をはり防水効果をもたらす。建物のベンガラ塗りにも多用され、時が経つとやわらかな飴色に変化する。桐油(きりゆ・とうゆ・きりあぶら)アブラギリの種子から搾油した赤黄色の乾性油。強い塗膜を形成するため耐水性、耐候性が強く、古くは建築用木材だけでなく桐油紙(とうゆがみ)や番傘に使われた。時間が経過しても色の変化は少ない。色土十分に乾かした色土を粉砕し顔料とする。水もしくは油と混ぜ合わせ塗料として着色することもできる。油性、水性ともウエスでの拭き取り仕上げが基本で、特に水性の場合は着色の後、十分に乾燥させて油を塗り、拭き取り仕上げをする。素地仕上げ経年変化を楽しめるよう少しだけ手をかけ、古材の美しさを引き出す素地仕上げ。素地(手をかけない状態)鉋仕上げ素地サンダ―仕上げ素地サンプル提供=小林澄夫古色仕上げ古材を塗装仕上げにするなら、古くから国内に伝わる伝統的な塗料を選びたい。ベンガラ(弁柄・紅殻)旧石器時代から使われ続けてきた赤色顔料。家屋をはじめ陶器や漆器などにも使われる。主成分は酸化第二鉄。人体に害がなく防水、防虫、防腐効果にすぐれ、時間が経っても変色、退色しにくい。赤が強く出るため、古材には黒色ベンガラや煤を混ぜて使う。

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