雑誌「チルチンびと」88号掲載「東京都/T邸」
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252階の仕事部屋兼寝室からは、路地と民家が眺められる。この見下ろしの景色も気に入っているそうだ。左上/2階の瀧内さんの仕事スペース。右上/洗面所にはアンティークの鏡を。 右下/井戸と瀧内さんの住む家屋。正面1階が「みんなのざしき」という、キッチンを備えたコミュニティスペースになっている。kurachiffon(クラシフォン)瀧内未来一級建築士事務所http://kurachiffon.com/上野桜木あたりhttp://uenosakuragiatari.jp/古い民家の記憶を次の世代につなぐ暮らしが次々に取り壊されている現状が見るに忍びないという瀧内さん。「古い建物でも、使いにくいところを直せば壊さなくても住めるんです。例えば壁を一枚取り払うだけでも、現代の暮らしに合った新しい動線が生まれる」。そんな家のお手本になれば、という思いで暮らしているという。「子どもたちはこの家を暗くて怖いって言うんですが、その記憶も日本人として大切だと思うんです。この家の長い歴史のなかで、今は私たちが借りて私たちらしく暮らしている。そしてまた次の世代につなげていきたいです」。 近い将来は、ここに学校帰りの子どもや近所のお年寄りが、気軽に惣菜を買いに来て話もできるような「第二の食卓」も開きたいとのこと。路地でつながる家々、世代を超えた人の輪|誰にも居心地のいい「路地のリビング」には、母であり建築家である瀧内さんのまなざしが宿っている。

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