雑誌「チルチンびと」80号掲載「日本の古材」
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58古材にさらなる美を与える、塗りの技古くから日本で建材の保護のために使われてきた、ベンガラ・松しょうえん煙、そして亜麻仁油。油で溶いた顔料を塗っていく仕事は、まるで美術品の修復のよう。汚れの下に眠っていた木目を引き立たせ、さらにこれから紡がれる時間を美しく受け止めるプロセス。や虫害を、1本1本状態をチェックした上で手鉋などで調整。さらにささくれた箇所をはつって丸みをもたせたり、繊細にペーパーをかけ、元の表情をいかに蘇らせるかに腐心します。 形を整えた後は、汚れを払って木目を引き出し、艶出しや古色仕上げを施すプロセスへ。油を乾かすだけでも1週間という、とかく手間のかかる仕事ですが、「ここまできっちり手をかけないと、古材に申し訳がない」と島村さん。使うのは、亜麻仁油と松煙、ベンガラと、昔ながらの色づけに使われていた素材。「黒光りする古材の色は、数百年かけて生まれたオリジナル。市販の塗料では再現できません」。調合は、住まい手の好みや使う古材の雰囲気によりその都度変えています。最近の傾向としては濃い古色を施すことなく、亜麻仁油を塗り込めた後乾拭きをして、古材本来の色艶や木目を磨き仕上げすることで浮き立たせた、比較的明るめの状態を好む方も多いそうです。  最近、島村さんが力を入れて古色仕上げの濃度を変えた新材と、古材を比較するとやはり表情が異なる。古材が味わい深いのは、色味もさることながら、夏目(色が薄い層)が痩せて冬目(色が濃い層)が立体的に浮き出ることも理由の一つ。古材が傷んで部分的に新材を使う場合に、古色仕上げの技術が問われる。色は、古材の色にあわせてゼロから調合している。また住まい手の好みで上写真のような濃淡も。最近は、あっさりとした仕上げが求められる傾向があるとか。何が違うか、古材と新材古色仕上げで新材にも味を松を不完全燃焼させた煤。木材に、最も自然な深みを与える顔料の一つ。松煙この油により、時間が経つと材は自然な古色を帯びていく。好みや状態により、古色仕上げはせず、艶出しに留めることも。亜麻仁油古来より使われてきた酸化鉄。松煙と混ぜて使うことで、防虫・防腐効果も。(塗料素材写真・浦川一憲)ベンガラ古材新材・亜麻仁油仕上げ新材・古色仕上げ新材・無塗装無塗装時間が磨いた材をすみずみまで生かす

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