雑誌「チルチンびと」80号掲載 神奈川県横須賀市・工藤邸
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40アメリカの古いパーツが紡ぎだすのは、古き良き時代の風景。 空につづいているかのような階段を上りきって振り返れば、眼下に広がる港町の景色。横須賀の潮風が額ににじんだ汗を冷やしてくれる。 小高い丘の上、色あせた木戸の向こうにそっと建つのは、下見板張りに切妻屋根の可愛らしい平屋。庭に敷かれた枕木をつたい玄関へ。木製のドアの向こうには、初めて訪れたにもかかわらず、ほっと懐かしくなる、アメリカ映画で見たようなリビングが広がる。 アメリカの納屋で使われていたという傷を帯びた床材に、古いカウチや本棚。リビングの奥、建物の西側にあるのは、「ラナイ」と呼ばれる屋根つきのテラス。光と風を味わいながらくつろげる、もう一つのリビングだ。「これでも3年前に新築で建てたんですよ、懐かしく見えるとしたら、古材や古い家具のせいですね」と笑いながら出迎えてくれる、奥さんの工藤雅子さん。 小さい頃から骨董好きの父親に連れられ、宝物探しのような気持ちで蚤の市に行っていたという雅子さん。20代の頃好きになった、アメリカの古着や映画、音楽の影響もあり、アメリカの古いものに魅かれ始めた。

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