雑誌「チルチンびと」80号掲載「岩手県/T邸」
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104 盛岡八幡宮は例祭の山車行列や流鏑馬など数多くの行事で知られ、その参道は江戸時代より町人文化を育み、繁華街として栄えてきた。この歴史ある参道に風情溢れる1軒の町家が佇む。間口5間、奥行き20間(約9×36メートル)という昔ながらの区割りに、蔵と旅館建築が寄り添うユニークな建物だ。 「この参道沿いに住みたくて、5年がかりで出会えたのがこの物件でした」と言うのはTさん夫妻。奥さんは江戸時代の文化・芸能をこよなく愛し、当時から連綿と続く盛岡八幡宮の例祭には、毎年笛や太鼓、唄い蔵(左)と主屋が寄り添う南側外観。Tさん夫妻が購入しなければ、この景観は失われていた可能性が高い。古い旅館を住居として再生し呼吸するまちの歴史を昔ながらの町家の区割りに建つ蔵と旅館建築。古いものを残したいと願う若い夫妻と工務店の情熱が、消えかけたまちの文化を守った。岩手県 住工房 森の音 ㈲美建工業 T邸写真・輿水 進 文・鈴木和宏

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