雑誌「チルチンびと」72号掲載「和箪笥のある愉しみ」
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79日々のお手入れ毎日使うことがいちばんのお手入れと山本さんは言う。ふだんは乾拭きのみで、3カ月〜半年に1回程度、家具用のワックスを塗るといい。そのほか、色移りを防ぐために四隅にベニヤを敷く(①)。引き出しの側面などにロウを塗りスムーズな出し入れで木の摩耗を防ぐ(②)。最大の敵、冬場の乾燥防止のため、水を含ませたスポンジを引き出しに入れたり(③)、戸棚に水を入れたコップを置く(④)、などが挙げられる。修復について山本商店の基本的な修復の流れは、まず汚れを落とし、直しをして元の色に合わせて着色。そしてほぼ無色のニスを刷毛で塗って最後にワックスがけ。心掛けているのは、ただきれいにするのではなく、その家具が生まれた時の状態に戻し、なおかつ味も残す修復だ。 特につやの出し具合にはこだわりがある。現代の家のインテリアになじむよう、控えめのつやに仕上げているという。縁金具表蝶番帯金具引き手錠前座金角金具棒金具隅金具左/店舗併設の修理工房の様子。10年以上経験を積むベテランが多数。 中央/スプレーガンなどではなく、刷毛を使うニス塗りが山本商店のこだわり。左/店主の山本明弘さん。箪笥一つひとつの物語をていねいに教えてくれた。 中央/井の頭通り沿いのひときわ賑やかな店構え。 右/店内の様子。アンティーク山本商店東京都世田谷区北沢5-6-3☎ 03-3468-0853http://www.antique-yamamoto.co.jp/営業時間/11:00~19:00月曜定休(祝日の場合は営業、翌火曜休業)❶❷❸❹部位名称

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