雑誌「チルチンびと」72号掲載「和箪笥のある愉しみ」
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74水屋箪笥江戸時代後期頃から関西を中心に発達した水屋箪笥。水仕事の多い土間に置かれるので、水に強い檜でつくられることが圧倒的に多いそうです。上段は食器を、中段の引戸には食べ物を入れることもあったので、「蝿はいちょう帳」という網入りの戸が使われているものも。下段は「膳棚」といって脚付きの角膳を重ねて収納していました。現代でも存在感がある上、収納力があるので、とても人気が高い箪笥です。①前栗・杉材時代水屋箪笥②幅91×奥行き40×高さ154(㎝)③39,800円④大正期~昭和初期/北関東⑤関東水屋は幅が3尺のものが多い。枠が杉で引き出し、引戸の腰が栗。引戸のガラスは、この時代よく使われていた手彫りの草木柄のもの。箪笥データの見方 ①名称 ②寸法 ③価格 ④時代/地域 ⑤解説※名称にある「時代」は山本商店での商品区分けの呼称です。 ①前欅材二重ね時代水屋箪笥②幅178×奥行き49×高さ176(㎝)③350,000円④明治後期/米沢(山形)⑤東北の水屋箪笥は数少ない。前面はすべて東北地方に豊富な欅で、木目をきれいに出すために明るめの色で仕上げ、漆塗りを施している。漆の保存状態がいいと、ワックスがけで見事に元の光沢が蘇る。内部は杉材。中央のガラスの引戸は板戸にも交換できる。①前檜・欅材二重ね時代水屋箪笥②幅115×奥行き45×高さ152(㎝)③220,000円④明治中期~後期/京都⑤とても珍しい白い水屋箪笥。美しい欅の木目を際立たせる仕上げが施されている。引き出しの数、バランスも秀逸で職人の手間とセンスが光っている。京都のものは中段の引戸が蝿帳で、透かし彫りがある。①前欅材二重ね時代水屋箪笥②幅91×奥行き41×高さ160(㎝)③59,800円④大正期/北関東⑤北関東では、中段の引戸が蝿帳でなく、板戸とガラス戸のものが多い。戸板は同じ材料を使い、美しい木目を左右対称に見せている。

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