雑誌「チルチンびと」72号掲載「京都府/デイビス邸」
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30多彩なデイビス・コレクション。右から /書斎の階段箪笥の蔵書と民族楽器。 /江戸期のキセル。初来日の際、土産物に購入して以来集め続けている。 /古材に残る仕口跡に小さな仏像が。 /川原で見つけた器片。縄文土器から江戸期のものまであるという。 /ジョナサンさんが周辺の山河で集めた石でつくったアクセサリー。 /家を改修した際に出た解体材の松で彫った牛。もの、東西の物品が、デイビス邸というるつぼで不思議な調和を見せる。 古材の織り成す空間に、和家具、キセルや火鉢など和の古道具、アジアの工芸品などが並ぶ。ボーダーレスで、年代もさまざまな蒐集品に共通しているのは、手仕事の良さだとジョナサンさんは言う。「東南アジアの職人は、鼻の穴に肉を詰めて、息を止めながら仏像をつくるそうです。そうやって魂を込めて人がつくったものには精霊が宿るんです。古いものには人が丹精を込めてつくったものが多い。だから好き」。木下さんも同じく、古いものは人の感性に訴えかける何かがあると言う。「かつては手を切るような角柱でも、やがてなんとも言えないとろみが出る。時間がアートをつくるんですね」 100年生きた木を使って家をつくるなら、100年は大切に住むべきと木下さんは考える。家が自分よりも長生きするのだと感じることで、家に畏敬の念を抱くからだ。「家は自然からいただき、先祖から受け継ぎ、自分の暮らしを委ねるもの。古材に宿るそういう精神性が、私たちが古いものに惹かれるいちばんの理由ではないでしょうか」右/風呂(右奥)、トイレ(右手前)をつなぐ1階の廊下。棚に並ぶ器はデイビスさんが焼いたもの。 左/2階の階段まわりにもジョナサンさんの蒐集品がずらり。

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